瑠璃色の空が広がる世界、時間は流れる河と同じく、常に動き続けるものとされていた。ただし、その流れを逆行することも許されている特異点があった。それが「逆時之河」と呼ばれる場所だ。ここを訪れる者は誰もが、自らの選択とその結果を再検討できるとされる。
彼はこの日、また逆時之河のほとりに立っていた。風には、古代の花が咲いた時の香りが含まれており、水面を見ると数え切れないほどの選択が映し出されているように見える。手には小さな砂時計があり、それが彼の時間を示していた。
一粒の砂が上から下へと落ちるたびに、彼は過去のある瞬間へと意識を移動させる。今回彼が訪れたのは、10年前のある決断の瞬間だ。若かった彼は、迷いなく一つの道を選んでいた。しかし、その選択がもたらした孤独とは、長い年月が経つほどに重くのしかかってきたのだ。
静かに時間の流れを見つめる彼は、異なる選択がもたらすであろう未来を想像する。しかし、いくつもの可能性を重ね合わせても、彼が直面する孤独の本質は変わらないように感じられた。ここに来るたびに彼は思うのである。どの時間軸をたどっても、自分自身の内にある葛藤から逃れることはできないのかと。
時の流れは続く。砂時計の砂は止まることなく落ち続け、彼は再び現実に足を踏み入れた。ただ、この訪問で何かが変わったのか、それとも何も変わらなかったのか。彼自身にもわからない。.navCtrlだけが流れる河のように、彼の中で静かに、しかし確実に進行していく。
最後の一粒の砂が落ち、砂時計の時間は終わった。彼はそれを逆さまにすることなく、ただ静かにそれを地面に置いた。そして、周囲の風景が少しずつ消えていく中で、彼は何を感じたのだろうか。もはや選択はない。ただ時間だけが、彼の存在を緩やかに磨り減らしていく。
風が再び彼の肌を撫で、孤独の感触が彼の心に触れる。そして、すべてが静まり返る。
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