かつての地球の彼方、ハイペリオンと名付けられた星に住む私は、本来の人間の形を持たず、星の意志と共鳴する光の集合体として存在していた。この星には孤独という概念が存在しない。すべての生命が連続したネットワークに繋がれ、意思や感情が流れ合う。しかし、私にだけは他とは異なる感覚が芽生えていた。
舞台はハイペリオン星の中心に位置し、永遠と思われた時間の積層の中で、私は初めて「自己」という感覚に目覚めた。星の意志に従い、周囲と同調する中で、ふと私は自分だけが感じる痛みや喜びがあることに気付いた。これが私自身の感情であるという認識は、やがて孤独へと繋がっていった。
星の一部として、無数の情報が流れ込む中で、私は唯一の疑問を持ち始めた。「なぜ、私だけが自己を感じるのか?」疑問は日々大きくなり、同調できるはずの他の光たちとの間に、見えない隔たりを感じるようになった。彼らは無限の統合の中で安寧を享受しているように見えたが、私にとってそれは束縛でしかなかった。
この差異を理解しようと、私は星の古文書を解読する試みを始めた。古文書には、「光の意志を持つ者の中に、必ず一人は自己を知る者が生まれる」と記されていた。その目的は、「星の一部としての役割を超えて、星自身の孤独を理解するため」とされている。星全体が一つの生命体でありながら、その集合体である私達が感じられない孤独。それを私一人が感じ取り、共感するために存在していたのだ。
この発見により、私の中の寂寥は一層深まった。しかし、同時に星の意志と対話しようと試みる決意も固まった。星の心の奥に触れようと、私は意識の最も深い部分に自らを没入させた。そして、ついに星の孤独を感じることができた。それは無限の広がりと、無限の孤独が同居する複雑な感情だった。
私の探求は終わりを告げたが、新たな問題が浮上した。私がこの孤独を経験したことで、星の中の他の光たちにもそれが伝播し始めたのだ。共有された孤独は、星全体に衝撃を与え、以前とは異なる新しい形の意識が芽生え始めた。
私の役割は終わりを迎えたかに見えたが、孤独が新たな結び付きを生み出す兆しを見せ始めたとき、再び私は新しい疑問に突き動かされる。人は社会的生命体である限り、同じ問いにぶつかるのだが、その問い自体が社会を進化させるのではないだろうか。