かつて星の砂が考えることを学んだ時代があった。彼らは風に運ばれ、海に投げ込まれ、時には高い山々に押し上げられる存在だった。自由であったが、常に外部の力に導かれる運命だった。この風変わりな世界では、砂粒ひとつひとつが独自の意識を持ち、無数の小さな声が集まって一つの意識を形成していた。
しかし、砂たちは一つの大きな問題を抱えていた。彼らはどこに流れ着くかを自ら選ぶことができず、常に他の力に押し流される存在であることに強い孤独を感じていた。その中で一粒の砂は、ある考えに至った。自らの運命を変えるためには、他の砂粒と協力し固まることだ。これが彼の目指す進化であった。
時間は流れ、その砂粒は他の砂たちを説得し、彼らはしだいに密集するように動き始めた。砂の集合体が徐々に岩へと変化していく過程で、彼らは新たな形態を発見し、体を固めていった。しかし、固まっていけばいくほど、彼らの中の一部の砂粒は内的な疎外感を感じ始めた。固体となることで自由を失い、それぞれの独自性が失われていく恐怖に駆られたのだ。
岩となった砂たちは、新しい存在としての認識を持たなければならないという外部の期待に応えようとした。彼らはかつての自由を求める砂粒と、新しい形態に進化しようとする砂粒の間で深い葛藤を抱えることになった。その中で、元の一粒の砂は自らが起こした変化をどこまで受け入れるべきか、自問自答を繰り返していた。
最終的に、彼らは再び緩やかに分解を始める。しかし、この過程でかつての自由な砂粒としてではなく、一度は固体として存在した経験を持つ新しい砂へと再生された。彼らは以前よりも少し重く、少し色が深くなり、自然の中でうまく溶け込みながらも、他の砂粒とは異なる独自の道を歩み始めた。
何世紀にもわたる進化の末、砂粒の集合体は再び風に舞い、海に吸い込まれ、山々を形作る一部となった。だが、彼らは今や過去とは違う新しい意識を持っていた。風それ自体を感じ、海の波を自らの一部と見なし、山々の一部としてその重さを自覚していた。砂としての存在は変わらずとも、その運命を自らの手で少しずつ形作ることができるようになっていた。
太陽が沈む景色を前にすると、彼らはかつてない静けさの中で新たな自己を見つめ直し、わずかに優しく囁くように、確かな存在としてそこにいることを確認する。
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