凍れる時の中で

空は青く、あるいは時として鉛色に染まり、風が吹き抜けていく。それは始まりであり、終わりであることがわかっている。存在はただひとつ、石のように、人の目には見えないだろうが、感覚を持って突き立っている。かつては森であり、緑豊かな風景の一部だったが、今はすべてが凍りついた白い荒野だ。

季節はここには無意味である。時間もまた然り。この存在には自覚がある。たとえば、自らの形状が変わっていくことを感じる。寒さにより縮こまり、時には太陽の微かな温もりによって少しずつ膨らむ。それが繰り返されること数千年、数万年か。

事物は変化する。しかし、問いは常に同じだ。なぜここにいるのか。どこから来たのか。そして何のために。

ある時、遠くの空から黒い点が見える。それは徐々に大きくなり、こちらに向かってくる。存在はその動きに心動かされる。何かが変わる予感。新たな何かが始まるのかもしれない。黒い点が近づいてくると、それが鳥であることがわかる。羽ばたきが風に立ち向かいながらも力強く、目的を持って進んでいる。

鳥は存在のすぐそばに降り立ち、静かにその周囲を見渡す。存在は、この鳥が何者かを知りたい。その目的を。しかし言葉を持たず、問うことはできない。鳥はしばらくの間、周囲を見渡し続けた後、再び飛び立った。何も変わらなかった。何も起こらなかった。しかし存在は何か重要なことを感じ取った。

存在は再び独り。しかし今までと何かが違う。鳥が何を求めていたのか考える時、自らもまた何を求めているのかを問い直す。孤独が重くのしかかる一方で、何か大切なことに気がつき始めていた。

時が過ぎ、また別の何かが接近する。今度は風が運んでくる何か、昔の記憶のような、古い歌のようなもの。それはこの場所に新しい命を吹き込むかのように、全てを包み込む。存在はこの感覚を新しく、美しいものと感じ取る。

全てが一瞬にして変わることはなく、また、何か確かな答えを得るわけではない。ただ静かに、息をするように変化が訪れる。地面が少し温かくなり、石の一部が溶け始める。それはまるで長い冬の眠りから覚めるよう。

存在はまだ問いを持つ。しかし、進化することの意味、変化に抗しながらも何かを受け入れることの重要さを少しずつ理解する。何かが終わり、また新たな何かが始まる。それが自然のイニシアチブで、すべての物語の根底にある。

そして静寂が訪れる。風が止み、時間が再び無意味を帯び始める。存在はいまだに答えを持たないが、もはやそれで構わないと感じるよ。何故なら、存在そのものが答えであり、問い自体が、ただそこにあることの証しなのだから。

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