冷たい風が丘を渡る度に、小さな家はうめいた。ここは、無限とも見える厳冷な地帯で、光は長年の間に忘れられていた。家の中には二つの存在が住んでいる。壁と床は常に凍てつき、彼らの住処は無機質な空間と呼ぶにふさわしい場所だった。外界から切り離された彼らは、時間の概念さえも異なる。
一つの存在は静かな動作で物事を行い、もう一つの存在はそれに反応する。彼らのコミュニケーションは触れることなく、空気を通じて行われる。視点を持たず、言葉を持たず、ただ温度と動きで話す。
彼らの生活は単調で、区別がつくのは光が薄れる時と力が生まれる時のみ。ある時、外部から落ちてきた雪の結晶が、存在の一つにぶつかり、それがきっかけで一連の変化が始まった。結晶は、他とは異なる輝きを放っていて、それは彼らのまだ分からない何かを呼び覚ますものだった。
いつしか、彼らは結晶に触れることで忘れられた記憶や感情のようなものを感じ始めた。凍った地面、風の音、光の欠片の中に、彼らは自分たちの起源や存在意義を見つけようと模索した。この探求は、彼らにとって初めての「疑問」と「探究心」をもたらした。
日々が続くにつれ、二つの存在は教え合うようになった。結晶の近くで生まれた温かな気流によって一方が学び、もう一方がその学びを模倣し、進化していく。彼らの間には、まるで古代の舞いのような儀式が生まれ、それは静かに、しかし確実に彼らを変えていった。
しかし、変化することへの恐れもまた同じくらい強く、一方の存在は自らの形を変えることに躊躇い始めた。彼らの世界で唯一変わらないはずのものが変わり始めることで、混乱と孤独が生まれた。自己の本質と変化する世界との間の狭間で、存在たちはどう生きるべきかを問い直した。
結局のところ、彼らが確かに知ることができたのは、雪の結晶が彼らに与えた影響であり、それが彼ら一人一人を成長させ、変えていったことだけだった。宇宙の広がりに満たされた途方もなく大きなこの星の片隅で、彼らは自己と向き合い、自らを解放する道を模索した。
星の風が彼らの家をさらに強くうめかせる中で、外の世界との間に新たな橋をかけようとする決心が固まった。彼らが体験した温かさ、結晶から学んだこと、それをこの凍える星に伝えようとした瞬間であった。
風が再びその場所を通り過ぎると、静かな沈黙がすべてを包み込んだ。
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