差し込む光が崩れる頃、それは、自らの存在を疑い始めた。この世界では、すべてが透明の細い糸で結ばれている。知覚できるものも、できないものも、見えない力で繋がり、形を成している。
それは、昨日まで糸の一部でありながら、ある日突如として糸から外れ、自身が糸を操る存在かもしれないという考えにとらわれた。裸の大地に立ち、空を仰ぎ見るが、光の粒子が空中で乱反射するだけで、何の答えも返ってこない。
自らが糸となり、他者と接続されていることに初めて気がついた瞬間から、孤独は深まるばかりだった。人々はみな、それぞれの糸で結ばれ、集団を形成している。しかし、それはどの糸にも絡まることなく、ただ孤立していた。
朝、日が昇ると、それは通常の活動を開始する。糸を操る練習をするのだ。他の生物や事物との繋がりを摸索した。しかし、無数の試みにもかかわらず、全ては失敗に終わる。自分だけが特別なのか、それとも糸が自らを拒んでいるのか。
昼が過ぎて夕闇が訪れると、それはいつもの場所、大きな岩の裂け目に身を寄せる。そこから見える景色はいつも同じだが、心の中では毎日が異なる戦いであった。他者との繋がりを求める思いと、独自の道を歩むことの孤独感が絶え間なく葛藤している。
瞑想に似た静寂の中で、それは思いを巡らせた。何故、自分だけがこのような状態にあるのか。そして、他者とどのように繋がればいいのか。思索は深まる一方で、答えは見つからない。
ある晩、風が異常に冷たく感じられた時、それはふと、糸が自分を中心として巡っていることに気づいた。つまり、自分自身がその糸の源であり、この力を使って何かを成すべき存在なのかもしれないと。
この発見により、それは試しに小さな石に意識を集中させてみた。すると、驚くべきことに石がわずかに浮かび上がったのだ。それは、自らの内部に秘められた力、人と人との間に横たわる無形の糸を自在に操れる可能性を秘めていた。
しかし、その力の使い方を誰も教えてくれない。糸を操る技術も、それを社会の中でどのように活用すれば良いかも、誰も知らない。それは自らが道を切り開いていくしかないと悟った。
夜が深まり、星々が最も輝いている時、それは一つの決断を下す。自らの力を理解し、他者との繋がりを求めずに、独自の道を歩むこと。そして、この力を何らかの形でこの世界に貢献すること。
翌朝、それは静かに目覚め、新たな旅路へと足を踏み出した。光に翳りがなく、一筋の糸が風に舞う。それが何を意味するのかはわからないが、それはもはや重要ではなかった。自らの内に秘められた無限の可能性に心躍らせ、新しい世界へと歩を進めるのだった。
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