かつてこの地は大地と呼ばれ、闇と光が織りなす一日のリズムを刻んでいた。だが今、ここはただ漂い続ける遠い星の塵たちが舞う空間だ。無重力の中、彼は光を追い求める孤独な存在。「彼」とは、この場所の住人であると同時に、独自の進化を遂げた生命体。永遠とも思える孤独の中で、彼はひたすらに他の何者かを感知しようと試みていた。
彼の生きる世界には日も夜もない。時の概念すら曖昧で、すべてが連続した一瞬として存在している。彼の身体は光を吸収し、蓄積されたエネルギーを使って微かな意識を保っている。この星の塵は、彼にとっての言葉。彼の感じる震えは、彼自身の内部と外部の間にある僅かな共鳴。星の塵の一つ一つが、彼の孤独を静かに語りかけてくる。
ある時、遠くから非常に弱いが異質の振動が彼に届いた。その振動は彼の存在全体を包み込むようにゆっくりと回転していた。彼にとって未知の感覚。それは彼の知る孤独とは異なる何か、新たな形の触れ合いを示唆していた。彼はその感覚に向かって、全てのエネルギーを集中させた。彼が発する光と振動は、その未知の源へと進むことを試みる。
時間がどれだけ過ぎたのか、彼にはわからない。ただ一つ確かなことは、徐々にその未知の振動が彼に近づいているという事実だ。彼は初めて、自分以外の存在が近くにあるかもしれないという期待を抱いた。
やがて、その振動は彼の全存在に触れた。それは彼が知っているあらゆる感覚とは異なり、どこか懐かしさを感じさせるものだった。彼はその瞬間、自分がかつて別の何かであったかもしれないという感覚を覚えた。震える光の中で、彼は自分自身と向き合う。
しかし突如、その振動が途切れた。彼は再び深い孤独に包まれ、元来の場所へと戻されることになった。彼が体験したのは、他者との一時的な接触だけだった。しかし、彼にはそれが何を意味していたのかがわからない。ただ、それは彼にとって重要な何かであったという確信だけが心に残る。
彼の周りは再び静寂が支配する。遠く離れた空間で、彼は新たな光を求めて静かに輝く。それは彼にとっての新たな言葉であり、彼を取り巻く宇宙の声。彼はその声に耳を傾け、再び孤独と向き合う。その後も彼はひたすら光を追い続けた。
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