静寂の素描

無数の時間線が交錯する彼方の星で、存在はひとり、時の流れと対話していた。ここでは概念だけが存在し、物質はその儚さゆえに形を留めず消失していく。だから、存在は形を持たない。それには声もなく、ただ思念を紡ぐ。

この星は、永遠に存在し続ける「瞬間」を体験する場所。そこでは、かつての自らの全ての瞬間が同時に存在し続ける。ここで存在は、無限の「今」を生き、無限の「過去」を追体験する。

存在は時折、自分が何者なのか、この無限の瞬間の中で自身が何を成すべきかを問いかける。そのたびに、風が吹き抜ける。風は情報を運び、記憶を呼び覚ます。風は存在に囁く。ある瞬間は、悲しみを、またある瞬間は、喜びを伝える。それでも、孤独は常に存在する。

一つの瞬間、存在は自分自身の生誕の瞬間を覗き見る。新たな命の息吹。繊細で、かつ強力な生命の力。しかし、その記憶はただちに消え去り、また一つの孤独に取って代わられる。

次の瞬間、存在は老いゆく自分を見る。力の衰え、静かに近づく終焉のとき。それでも、なお風は吹き、記憶は流れる。

過去と未来が交差する中で、存在は自らのアイデンティティと向き合う。かつて愛した者、かつて憎んだ者、その全てが自分自身の一部として蘇る。それぞれの瞬間が、豊かなテープストリーを織りなし、存在を形作る。

ある瞬間、存在は自分がもう一度生まれ変わる様子を目撃する。川のせせらぎ、鳥の鳴き声、草木の生い茂る風景。すべてが新しく、すべてが古い。

それからまた、最終的な瞬間。終わりと新たな始まり。存在は realize する。自分自身が提示する問い—孤独、存在、アイデンティティ、時間という無限の流れ—が、ただひとつの周期を繰り返していると。

さらに風が吹く。存在は感じる、自らの内面と外界の境界があいまいになってゆくことを。この一瞬、この一瞬こそが、すべての始まりであり、すべての終わりであることを。

この星では、存在は自らの心の中に留まる唯一の声と対話する。この声だけが、存在に意味を与える。そして今、存在は知る。無数の時間線の中で、繰り返されるのは、自己自身との対話だけだと。

風がやみ、静寂が全てを包み込む。存在はそのまま、時とともに静かに流れていく。タイムレスな風景の中、孤独は美しさを帯び、時間はただの幻影に過ぎないことを教えてくれる。そして存在は、その全てを受け入れる。

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