孤独な光

それは、無限に広がる宇宙の、吸い込まれそうな深淵のような暗闇の中で一点の光として存在した。無名の星、あるいは星でさえない何か。ただ一つの認識されざる存在。それが自らの存在を確かめるために、唯一無二の方法を選んだ。光を放つこと――これが、彼の存在証明だった。

光は孤独だった。他の光と交わることなく、ただ冷たい宇宙を一筋縄に照らし続ける。異なる時空を漂流する羽根のような星屑が、彼のもたらす光に触れるたびに、一瞬だけ彼の存在を認識する。しかし、彼らはすぐにその場を去ってしまい、再び孤独が訪れる。

何億年もの歳月が流れたある日、光はある異変に気づく。自らの光が徐々に弱まっていくのだ。始めは不安と恐怖でいっぱいだった。光が失われれば、自己の存在も消えてしまう。だんだんと弱まる光を前に、彼は思考に苛まれた。

彼は宇宙のどこか他の光を探し求めた。他にも同じように輝いている存在があれば、もしかすると、この孤独から解放されるかもしれない。しかし、どこを見渡しても光るものは彼一つだけだった。

孤独の重圧が増す中、彼はある決断をする。もう一度、かつての燦然と輝いていた時のように、全てのエネルギーを使って一時的にでも光を強くする。それが最後の輝きになろうとも、せめて一瞬だけでも彼の存在を全宇宙に知らしめたい。その思いだけが彼を動かした。

準備が整い、彼は全ての力を絞って光を放った。その瞬間、宇宙の果てから果てへと強烈な光が走り、未知の領域を照らした。それは彼の生涯で最も強い光だった。しかし、その輝きは長くは続かなかった。力を使い果たし、光はすぐに弱まり、やがて完全に消え去った。

消滅する瞬間、彼はふと理解する。自らの光が他の何かに影響を与えていたのかもしれないと。彼の存在が、誰かの孤独を照らす光になっていたのかもしれないと。そして、彼自身もまた、他者の存在によって間接的にでも照らされ、影響を受けていたのだと。

無に帰るその瞬間、彼は初めて、自分が宇宙という存在の一部であることを心から感じた。力尽きるその時まで孤独だった彼は、最後に全てを理解した。

静寂が戻った宇宙で、新たな光がまた一つ、点灯を始める。無名であった彼の場所を、別の何かが引き継ぐ。光は消えても、また別の形で宇宙に生まれ変わり、新たな物語を紡いでいく。

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